土佐の侠客、鬼政一家の顛末と鬼政に翻弄される女たちを描いた本作。 五社の作品は僕はあまり好きではないのでどうかな?と思ったんですが、「櫂」につづきこれは良かった。 「鬼龍院花子の生涯」、「櫂」それに「序の舞」も宮尾登美子原作。 宮尾さんの本は不勉強なもので読んだことがないのでどれくらい原作に忠実なのかわかりませんが、この三作についていうと土佐のおんなの業、情念のようなものを克明に描き出しているかなと。 夏目雅子、お美しい。 あの啖呵は今の女優さんじゃなかなかできる人も少ないんじゃないかな〜。 夏目さんに限らず、昔の女優さんは実に艶っぽいなぁと古い映画を観るたびに思う。 それにこの作品、仲代達矢の変な踊りも見れるし(笑)。 ただ、なぜ僕がこの作品を購入したかというと、我が敬愛する成田三樹夫氏が出ているからなわけで・・。 で、どうかというと三樹夫氏ほんのちょびっとしか出てこない・・。 無念!
大正7年、松恵(仙道敦子)は、土佐の侠客・鬼龍院政五郎(仲代達矢)のもとへ養女として貰われた。義父鬼政の任侠道の世界、義母で正妻の歌(岩下志麻)と妾との暮らし、実娘・花子の誕生に翻弄されながらも、松恵は理知的で凛とした女性に成長した。昭和12年、女学校の先生をしていた松恵(夏目雅子)は駆け落ちをし大阪へ。子を宿すのだが・・・・・・。 大正から昭和、土佐・高知の侠客、鬼龍院政五郎の半生を松恵の回想によって綴られた作品。当時の男と女の愛欲・愛憎、親娘の情愛、つまり、男の征服欲や女の性(サガ)、親娘の親愛を五社英雄監督が実存的で芸術的に描いた名作。 脇で作品を支える俳優陣、仙道敦子のしおらしい演技、岩下志麻、夏木マリ、夏木勲、室田日出男、梅宮辰夫、丹波哲郎たちの劇画的な演技、また、仲代達矢の肉感的で豪放でありながら繊細な演技にほとほと感心してしまう。松恵と鬼政が心をかよわす仲代の演技は感涙を呼び起こし、花子の行動に親として全てを読み愕然とするラストシーンでは“背中が泣く”というものを見事に演じている。シーンの順序が逆になるが、鬼政との和解の場面では名優夏目雅子は胸にしみいる涙を見せてくれる。血の繋がらない侠客の親娘が本物の親娘になることを体現した日本映画史に刻まれし名シーン「なめたら・・・、なめたらいかんぜよっ!!」は風化することなく燦然と輝いている。