フジテレビ製作の映画が市場を独占している余りにもお寒い日本映画界においては園子温のような才能は貴重である。塩田明彦がTBSの軍門に下って駄作を連発している現状においてはなおのこと唯一気を吐く三池崇史と佐藤詞麻子さらに若手数人を数えるのみ。 世界では毎年の様に傑作名作が生まれ新たなる才能が誕生しているというのに。この十年金になるからという理由でフジテレビ製作の映画だけをヨイショしてきた日本のマスコミとそれを鵜呑みにして劇場に詰め掛けてきた我々映画ファンのツケがここに来て日本映画界に大きく響いて来ている様な気がします。 もし今の様な状況が続くならますます世界の映画界から遅れをとるだけです。
近親相姦と暴力と、欺瞞と、病んだ精神と、肉体に対する嫌悪等々。 映画や小説などは「有り得ない事」を、題材にしているのですが、 先鋭的映像や難解過ぎる脚本は、一般には理解し難い。 芸術性を持たせ様との努力は認めるが、 その努力が制作側の自己満足になってしまっていないだろうか? 見る側の「技量」を試すかの作品だと思う。
冒頭にユイスマンスの「さかしま」の文章がでた刹那、心臓を鷲掴みされ、詳しくは記載できないが宮崎ますみの安堵に満ちた顔が画面いっぱいになって終えるラストまで、このつくりての才能において嫉妬に震えた。同監督作品の「自殺サークル」も拝見したが、人間の内奥の何たるかを描かせたら、この監督の右にでる者は果たしているのか?とわれながら推敲もせず、その場の狭小なおつむの中、世界中で知っている監督の顔と名前が一致しない方まで列ねてみたが思い浮かばなかった。だがあちらの作品はただグロテスクな感慨だけが尾を引いた。映画好きとして、してやられた感で情けなかったが、こちらの作品は………、まず観てほしい。宮崎ますみの激しいセックスシーン目当てでも何でもいい。タイトルもこれ以上ないほどうまいこと付けやがる。特典のドキュメンタリーの中で監督が、寺山修司やぼくも大好きな巨匠の名を挙げていたが、あれだけは納得いかなかった。何故なら、たといは些か下品になるが性行為のさなか記号を呟かれている気がしたのだ。それほど打ちのめされたということである。 しかしだ。園監督のような映画………と誰かが三〜五十年後に胸をはっていなければこの世は本当に「奇妙なサーカス」ということにもなりえるんだ、と云うおっさんギャグ回路ももってそうな監督の器に嫉妬したのかもしれないと今振りかえって思える。 なんのこっちゃ。
この映画は宮崎ますみさんが どこまで、大胆になりきれるか、がポイントですが、その点については期待はずれです。 メイキングの方が(特典)その期待には応える内容という珍しいケースです。 しかし本編で使っていない、裸をメイキングで映し出していいのだろうか? そんな疑問は湧きますけどね。(本編では、まったくそうでもないといってもいいくらい) あと初めて、園監督の「お顔」を拝見したのですが、「自殺サークル」など(私は、批判が多いのですが、この映画は気に入ってます)の印象からはもっと若い人だと思っていたのですが、インタビューではいい味がでた受け答えをしております。宮崎さんのインタビューは気負いが感じられる。 映画は母と娘の関係がよじれて、母は娘に対して虐待にも近いことをする、娘も母には仕返しをする(石田さんも妖艶という意味では、いい味が出てますよ)、というようなことが夢の中なのか現実なのか、区別がつかないなかで(実際は、母親たる主人公の頭の中での出来事が映像化されている部分が多いと思うのですが)いろいろなところ=舞台で展開される、無意識下での世界の表現とも考えられると思います。だから、最後はあのように破綻をする結末となると思います。まあ病気ですね。このように物語なんて追うというより感性が合うかどうかという映画だと思います。 残酷、ゲテモノ描写は、私は気にはなりませんでした。リアリズムがないからでしょう。 それよりも、照明などが派手なシーンが「夢」を強調していて、そこを中心に観るべき映画でしょう。 しかし人には薦めたくはない映画です。本音、もう少し宮崎ますみさんに、崩れた元美少女をさらけ出して欲しかった気はします。しかし、そういう見方、すなわち、女優の変わり具合がポイントでもあるという、変わった見方ができる映画だと思います。