あの時代、こういった主人公タイプの人間はあなたの身辺にもいたのではないでしょうか。ウジ虫をイカの塩辛のように美味そうにくうなんて…。イカの塩辛を食べる度にシーンを思い出します。
全編にわたる暴力とエロスの嵐。ヴォリューム満点の「生」のエネルギーを食わされた感じでした。観終わった直後、「これは凶暴なヴィト・コルレオーネ(「ゴッドファーザーpartU」)の物語だ」と思ったんですが。戦後間もない大阪の朝鮮人コミュニティのワイルドな風景、暴力や性欲で噴出する男たちのギラギラ、それを愛し、恨み、耐え忍ぶ女たちの情念...。とてつもなくテンションの高い映画です。 何より、北野映画の、どこか「死」の臭いが漂うたけしと違って、どこまでも現世の「生」に執着し、ありったけの「生」を貪る金俊平を演じたたけしが即物的でリアル。腕は太く締まっているのに、腹が出ているのもリアル。暴力シーンの凄さはお手の物って感じで、私は乱闘シーンでは毎回井手らっきょら、いるはずのない、愛すべき軍団の姿を探してしまったりしてました。何か凄いいそうな気がしたんですよね。
やはり実話はいい。胸に迫るものが有る。ビートたけしの暴力的人物像が見事に出ていた。この役をやれるのはこの人しかいないでしょう。 本のストーリーとは最後の方が少し違う気がするが、完成度は高い。 最初から最後まで飽きさせず、何かこう引きつけられる何かが漲っている映画だと思った。 この時代の人は強かった。今日を生きるのに必死だった。金もものもないけれど男も女も人間の欲望を曝しながら頑張って生きた時代でもあった。 人間とは一体なんだろう。この映画の題名はまさにそれである。 頑張って作り上げた監督とこの多くの出演者に拍手を送りたい。 私としてはこの映画が賞に選ばれるべきだと思った。 ちなみに喧嘩や女性への暴力は本当に殴っているようだったが、それが又現実的だった。
無駄なシーンが多すぎる。無駄なエキストラが多すぎる。当時の町の雰囲気を再現したかったのは分かるが、映画はドキュメンタリーではないのだから。たけしの演技力についても疑問詞がいっぱいつきます。あるいは監督の演出が悪いのか、非常に平板に感じます。あんなにムチャクチャなことをする男なのに、内面のどろどろしたものが伝わってこない。まるで単なる通り魔です。扱うテーマと演出と脚本に一体感がありません。残念ながら駄作です。
主人公の、己の欲のみを軸とした暴力的な生涯。それに巻きこまれ、翻弄され、あるいは捨てられ、葬られてゆく人々の、救いようのないような凄惨な人間模様。眼を背けたくなるような光景でもリアルと感じたのは、ここまでひどくは無くてもよく似た人々を私が知っていると感じたからか。「えげつない」という形容詞がこれほどしっくり来る男にはなかなかお目にかからない。この映画をとおして崔監督が観客に伝えようとしたのは、あるいは複数の民族の眼から複眼的に見たリアルな昭和史であり、あるいは単純に、狂気と暴力に満ちた男のものがたりを媒体に、そうしなければ生き残れなかった時代を現代に投影するなにがしかのメッセージかもしれない。全体を貫く昭和のイメージは、窓から差し込む日の光、深夜の路地の闇のいろ、ふすまの質感、そんなディテールの忠実さで見事に表現されていた。 余計なことを考えずに、偏見を持たずに観るなら面白い映画。