二つの場面が印象的だった。当時の日本人のメンタリティをよく表しているからだろう。 ○肝臓炎の治療のためのブドウ糖の支給が減らされそうとするのに、赤城風雨医師が抗議するとき、肝炎治療の重要性を縷々説いたあと、「畏れ多くも天皇陛下の…」と天皇の名において役人を説得しようとする場面。 ○鳥海外科医に「わしも軍部のやり方には不満だが、始まってしまった戦争じゃし」とつぶやく場面。 常に患者のことを思いつつも一瞬名誉に眼が眩むという赤城医師は人間臭さを備えた職業モラルの高い人だ。それでもあの戦争を否定してはいなかったんだということが新鮮な驚き。軍部に反発するのは人の健康に反するようなことを押し付けられるときであり、戦争そのものが理由なのではない。始まってしまったとき歯止めをかけられる人などいないのかもしれないと思う。
以前みた映画だった。 ハリウッド映画と違う日本の映画。 性におおらかで、人生を謳歌し、 そして時代の逆境にしぶとく生きる。 そんな日本人を見せてくれた。 医療に携わる人に見てもらいたい。
<元気コメント> 生と性。 人にとってはいずれもかけがえがない。 (走り回る医者カンゾー先生とそれを囲む一筋縄ではいかない登場人物たち:世良公則=モルヒネ中毒の外科医、唐十郎=生臭坊主、松坂慶子=料亭の後家、麻生久美子=売春看護婦ソノ子)
路地を疾走しまくる初老の医者、淫売、アル中の坊さん、モルヒネ中毒の医者―本人たちは必死でも、どこか笑いを誘うキャラ達―。 ちょっと軽めだけど、今平監督の出発点、“豚と軍艦”あるいは“にあんちゃん”を髣髴とさせる、あの重喜劇が帰ってきたーと言う思いがこみ上げてしまいました。 思えば“神々の深き欲望”以降の今村昌平は、実証主義にこだわるあまり、こういった、庶民のおおらかさをのびのびと謳いあげる作風から遠ざかっていたと思います。 女のモンペを旗にして去っていく鯨も大笑いです。 “うなぎ”で2度目のカンヌ・グランプリを受賞し、名実ともに世界の巨匠となった今平さんがリラックスして作った快作―と言う感じです。 “お前は激しい女じゃのう” “サヨナラだけが人生だ” “うちはバクテリア(つまり人間というよりは生物)じゃけん”などなど、まさに今村昌平の軌跡そのままの名セリフが出てきます。 さらには原爆のきのこ雲まで―。 これはまさに今村昌平大全集といった感じの作品でした。
昭和20年の混沌とした時代背景の中で軽妙に人間模様が展開されていく… 際立っているのが何といっても体当たりで頑張った麻生久美子ちゃんの演技でしょう♪ 卑猥ではないのにエロチックな場面が、そこかしこに散りばめられていて素晴らしい作品に仕上がっています。人情味あふれる内容の中にピリッと効かせたスパイスのような麻生久美子ちゃんのHなシーン! 理屈ぬきで楽しめます♪ ぜひ、ご覧になって下さい。