佐藤春夫の原作の映画化である。 ぼくが最初に観たのは、生っ粋の白黒バージョン、たいへん美しいフィルムだった。 ぜひ白黒の映画を観て頂きたいと願う。 独創的な白黒による美しさが、この映画の世界そのものを現わすに、切り離せないほどに感じられるからである。 ゆったりと描かれる時代の、その時間を、まるで忠実になぞるような贅沢な作りである。 冒頭の鐘を突くテンポと、子供達が歩くテンポが、そのまま懐かしくなる方々も多いだろう。 後で気づいたのだが、この映画のその冒頭、導入の感じは、小津安二郎の「東京物語」そのものでもあった。 この映画に現れた原爆のキノコ雲が、「美しいからこそ、怖いのだ」という大林監督のコメントに、テレビで対話者だったオリバー・ストーンが、全く理解できず、禅の公案に怒り出すような反応をしていたのが思い出される。
最初テレビで見たとき、途中で涙がぼろぼろ出て止まらず、声も出てしまいました。 こりゃたまらんと思いましたわ。 だいぶしてから再放送を見たんですが、もう泣かないと心したのにまた声を出して泣いてしまいました。 まさに慟哭というやつです。 こんな映画、後にも先にもありません。 お勧めです。
野~ゆき,山ゆき,海辺ゆき・・・・劇中流れたこの歌が,見終わったあとに,心に切なく響きます。戦争の時代,極めて日本的な風景の中で,鷲尾いさ子扮するお昌ちゃんは,少年達のあこがれ。そう,私やあなたの少年時代に,ほら近所にいたでしょ,ちょっぴり年上のやさしいあこがれのお姉さん。でもそのお姉さんはやっぱり絶対にぼくらが追い越すことのできない存在,いつか遠くへいってしまうのでした。